ロキシーミュージックの『Avaron(1982)』ほどアートロックという言葉が似合うアルバムもないのではないだろうか。アルバム全体の雰囲気は統一されていて、中世ヨーロッパの荘厳で神秘的なファンタジー小説のようなジャケットから想像できるとおり、ヨーロッ…
モノマネで使われる歌手ベストテンには必ず入ってくるだろう。独特の美声から繰り出される名曲の数々は老若男女あらゆる世代に知られていることと思う。僕は世代ではないがそれでも一音楽好きとしてそれなりに聴いてきた。ご存知ですか。井上陽水です。 陽水…
ポストパンクとはパンクロックの流れにある特定の音楽的特徴を持つバンドを総称して呼ばれるものであり、ニューウェーブという呼び方もあるが、こちらは80年代のMTVで流れるようなもっと広義のアーティストも指す言葉だ。 ポストパンク。パンク以後の音楽…
僕が好きだった音楽にポストパンクというジャンルがある。僕は高校生や大学生の頃やたらハマって聴いており、これが最強の音楽だと疑わなかった。今日はポストパンクの話がしたいが、それにはまずパンクロックを学ぶ必要がある。 70年代半ば、若者の新しい…
The Beatlesは文字通り世界を変えた唯一無二の存在であるのに、その音楽的個性をきちんと受け継ぎ、さらに発展させた後続のアーティストは案外少ないように思う。マイナーなものを含めれば数あるのかもしれないが、質が良く有名なものに限ると、同時代だとHa…
氷室京介。名前からして氷に京というクールな二文字を冠した名前で、彼の音楽性すら予見してそうな響きがあるが、本名ではなく芸名で漫画のキャラクターから名前を付けており、BOOWY活動初期は氷室狂介でバンド名も暴威だった。名前変えてよかったね……。今日…
高校生の時『乙女の儚夢』というアルバムを聴いた。きっかけはよく覚えていないが、おそらくイエローモンキーの吉井和哉さんの影響だったと思う。当時、大学受験が憂鬱で中二病をこじらせてしまい、その鬱屈した気持ちをつげ義春の漫画を読んだり、モンティ…
僕はオタクというほどアニメにも漫画にも造詣は深くない。ゲームだって趣味の一つではあるが、ゲーマーと呼ばれる周りの友人ほど熱心ではなく、やり込むことなど今まで一度もなかった。僕の一番の趣味といえる音楽鑑賞と比べたらそれらに対する情熱はだいぶ…
僕が音楽を探求していく上で大きな指針になった本がある。布袋寅泰の「Radio Pleasure Box」だ。確か、母親とBOOK OFFに行った時に買ってもらったのだと思う。その本には彼に影響を与えたアーティストの名盤がテーマ毎に紹介されていて、当時高校生だった僕…
音楽を聴いていくと、このアーティストのこの部分は多分ここからじゃないか?という発見がある。今僕はビーチボーイズのライブ映像を見ているのだが、そのコーラスのハーモニーは浜田省吾の曲によくあるものにそっくりだ。それは浜田省吾と彼の曲のコーラス…
今日は知恩寺の古本祭りに行ってきた。何か記事を書く際に参照できるような音楽に関する本があればいいと思って行ったところ、思いがけず会場に入っていきなりMERZBOWの『ノイズ・ウォー』を見つけてテンションがあがったが、プレミアで高価すぎたので購入は…
世の中にはこれを知らなきゃモグリだよ、という通ぶりたい人々のための表現がある。玄人ぶることの恥ずかしさは重々承知しているつもりだが、ことソフトロックというジャンルに限って言えば、The Millenniun『Begin(1968)』を知らない奴はモグリだと言いたい…
僕がこれまでの人生の中で一番集めたアルバムかも知れない。一回売ってもう一回買ったCDが一つ。再発リマスターされたCDが一つ。アナログにはまってから買ったレコードが一つ。現在計3枚持っている。それだけの回数聴いてきたし、誰にでも勧められる素晴ら…
小学生の時に観たBOOWYのビデオがきっかけでロックという音楽に魅せられてからもう20年ほど経った。途中、色々な音楽に浮気することもあったが僕が最も聴いてきたのはロックである。だが、一口にロックと言ってもその中で色々なジャンルに分かれており、奥が…
夜の埠頭、光に照らされた岸辺を見つめながら、帽子深く被った男が肩をすくませて佇んでいる。暗闇に邪魔されて男の顔は見えない。向こう岸にはビル群が立ち並び、都会の喧騒にまみれたネオンの光が夜光虫のように瞬いている。男の周りの時間は止まり、一人…
僕が音楽に目覚めたきっかけはBOOWYだ。小学生の頃レンタルで借りた『LAST GIGS』を観て、日本に昔こんなにかっこいいバンドがいたのか!と衝撃を受けた。その後、いてもたってもいられなくなりドラムを習いはじめたり、布袋寅泰の音楽的ルーツを探るために…
1980年代はいい意味でも悪い意味でも音楽産業に勢いのあった時代だった。海外ではアーティストのPVをつくって音楽を売り出す手法が一般化し、MTVというケーブルテレビの音楽専門チャンネルで24時間繰り返し流された。MTVで最初に流されたPVは「ビデオ…
ここ一ヶ月、the Beach Boys『Pet Sounds』にハマっている。その音楽や歌詞の美しさはこの世に存在しているのがほとんど奇跡のように思える。当ブログでも取り上げようと思ったが、これほどの歴史的名盤は語るにはなかなかに敷居が高すぎるので断念した。そ…
「n.t.」では大人になることを選んだ主人公が、上手く社会に溶け込んで生きていく代償として、いつのまにか心が死んでいっている自分に気づいてしまい、そんな自分に戸惑っているというような歌詞だ。曲自体はマイナー調のダウナーなリフが印象的なオルタナ…
戦争の正義や大義名分に疑問を感じつつも、戦場の真っ只中で誰かに銃口を向けざるを得ない一兵士のジレンマをドキュメンタリーのように表現した「敵はどこだ?」からこのアルバムは立ち上がる。戦争という重々しいテーマに対して曲はジャジーなビブラフォン…
ポルノグラフィティが好きだ。彼らは前回書いた浜田省吾と同じように僕の地元広島の因島出身だ。僕も物心つかない幼少期、因島で過ごしており、デビューの時から周りの大人が騒いでいたのを覚えている。ボーカルの岡野昭仁の実家がやっている岡野写真館で僕…
音楽評論を考えるに、どの音楽にも固有の歴史や、たどって来た変化の過程があり、そういった情報に触れずしてその音楽を語ることはむずかしいのではないかと思うが、そのなかでも黒人音楽を語ることはいちばん敷居が高いように僕には感じる。今では当たり前…
本格的に洋楽ロックに目覚めた中学生の頃、僕はCDについてくる解説を読むのが好きだった。そのアーティストの音楽を録音の時代背景、アーティストの出自、後のロック音楽への影響などから詳しく解説してくれるライナーノーツは、アルバムのジャケットや日本…
毎日、好きなアルバム一枚について語るような記事ばかりだったので、たまには雑談のようなものでも許されるだろうと思い、好きなアーティストについて自由に書いてみる。第1回は浜田省吾。 このブログを読んでいるみなさんは浜田省吾(通称ハマショー)につい…
ひとりで聴くことが求められる音楽というものがある。誰かと一緒に聴いたり、BGMとして流し聴きする種類の音楽ではなく、ひとりだけで自分の世界に耽溺していくための音楽。僕にとってそれはThe Bandの『Music From Big Pink』であり、今日ご紹介するこのTom…
今日ご紹介するのは、AOR界の重鎮で日本でも人気がある、MICHAEL FRANKSの実質的な1st『THE ART OF TEA』だ。最近になって音楽の趣味が落ち着いてきたのか、こういった耳馴染みの良い大人のロックを好んで聴くようになったのだが、その中でもこのアルバムは…
Moondogというアーティスト、ミュージシャンがいるらしいというのをある音楽サイトで知った。アンディウォーホールが描いたアルバムジャケットの特集で見たのだが、名前の響きからして何事かありそうな意味深な名前、月。犬。なんかファンタジックでいいなあ…
1967年、ある一つのロック史、ポピュラー音楽史に輝く偉大なアルバムが発表された。言わずと知れた、The Beatles『Sgt.Pepper’s Lonley Hearts Club Band』である。架空のバンドのショーという形式の中で、「 Lucy In The Sky...」のようなカラフルでサ…
最近、仕事で色々あり落ち込むことがあった。ショックな出来事を思い返すたびに、頭の中がぐるぐる回り、ああでもないこうでもないと感情が上下する。いつもの流れでこの気分が休日までずっと引きずりそうな、ろくでもない予感がする。そんなとき、私は癒し…
先日、U - NEXTで観た映画『ELVIS』がきっかけでエルヴィス・プレスリーにハマりそうだ。 正直いうとこの映画を観るまで私はエルヴィスに対して過小評価をしていたと思う。もちろん、ポピュラー音楽を探求する身として、ロックという音楽を作り上げた偉大な…