LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

音楽評論がやりたかった

 本格的に洋楽ロックに目覚めた中学生の頃、僕はCDについてくる解説を読むのが好きだった。そのアーティストの音楽を録音の時代背景、アーティストの出自、後のロック音楽への影響などから詳しく解説してくれるライナーノーツは、アルバムのジャケットや日本語訳された歌詞と同じく音楽そのもの以外でそのアルバムの謎を解くための鍵であり、その謎の奥にアーティストが込めたメッセージや深遠な思想が隠れているように感じていた。評論家が書いた文章の中には感情的に殴り書きしたようなエッセイ的なものもあれば、データーベースで埋め尽くしたようなものもあり、次から次へと現れる知らない単語や概念、社会情勢や地名、新しい音楽知識に理解が追いつかないことも多々あったが、知らないことを知れることにそれ自体に僕は興奮していた。やがて、高校生になってからはCDショップに並ぶ洋楽アーティスト名を聞いたこともないけど大体知ってるほど中古CDを買い漁るようになった。当時高校で音楽の話ができるような友人は全くおらず孤独な時期だったが、その不満は大学に入って自分が好きだったポストパンクのカバーバンドを組めたことでだいぶ解消された。

 ずっと音楽評論家に憧れていたが、僕はこれまでの人生をこの夢にまともに対することなく、最初から諦めて続かない就職を繰り返したり、余暇を持て余し、夢中になりきれないゲームなどに時間をつかっていた。何かちがう、楽しくないと感じていたのに、成功するしないで考えてどうせ無理だ、と終わらせていたのだ。しかし、最近僕はある本を読んで気づかされた。成功するしないなど関係ないのだと。金銭的には何の得にもならないような趣味であっても、情熱を傾けるだけの熱意と楽しさを見出せればそれ自体でもう完結しているのだと今は考えている。いつかYouTubeで見た甲本ヒロトの「ロックンロールバンドは最初から組んだ時点でゴールしてんだ」という言葉の意味が今はよくわかる気がする。もちろんそれは成功することを諦めたということでもなく、いまの自分の解説能力や文章の書き方に全く満足しているわけでもないので、これからも頑張ります。