LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

ポルノグラフィティ『雲をも掴む民』 曲の解説②

 「n.t.」では大人になることを選んだ主人公が、上手く社会に溶け込んで生きていく代償として、いつのまにか心が死んでいっている自分に気づいてしまい、そんな自分に戸惑っているというような歌詞だ。曲自体はマイナー調のダウナーなリフが印象的なオルタナティブロックで、ポルノの隠れた名曲ではないだろうか。最近僕は仕事をしていく中でのトラブルで、他人に裏切られたように感じる度に、本音で他人に接しようとしないようにしようと考えたり、心を閉ざすことを選んだりしたのだが、その時にこの曲が思い浮かんだ。

 「n.t」から切実なバラード「ヴォイス」につながる。前曲と主人公は同じなのかはわからないが、心が弱っている「僕」は「僕を呼ぶ声」に対して「きっと誰かに会いたくてここにいる」と告白する。ここにいない誰かを探して必死に「会いたい」と心の助けを求めている主人公だが、現在ではあまりめずらしい話じゃないのではないだろうか。今ではSNSで簡単に他人と繋がれるようになり、自分が望めばたいてい承認欲求も満たされるし、ネットを通じた男女の出会いも当たり前になっているほどだ。しかし、この曲で歌われるような自分を理解して受け止めてくれるような他人に会える確率は何%くらいあるのだろうか。