LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

布袋寅泰は僕の親父『GUITARHYTHM(1988)」

 僕が音楽を探求していく上で大きな指針になった本がある。布袋寅泰の「Radio Pleasure Box」だ。確か、母親とBOOK OFFに行った時に買ってもらったのだと思う。その本には彼に影響を与えたアーティストの名盤がテーマ毎に紹介されていて、当時高校生だった僕はそれを頼りにCDを買い漁った。David BowieRoxy MusicElvis Costello、10cc、Roy Wood、Gang of FourDAFIggy Popなどを聴くと、確かに布袋さんの曲のアイデアの下敷きになっているような音楽要素を感じられた。元ネタ探しではないが、そういった意味でも楽しかった。

 だが、影響源をある程度知っていても、布袋寅泰に対するリスペクトは変わらない。ニューウェーブの音楽を日本に持ってきて独自に消化したセンス。ギタリストとしての確かな腕前と、彼を特徴づけるオリジナリティ溢れるギターカッティングや親しみやすいメロディのギターソロ。今日紹介するのは布袋寅泰BOOWY解散後に発表した1stソロアルバム『GUITARHYTHM』である。

 「GUITAR+RHYTHM(ISMも隠されている)」という「ギターリズム主義」ともいうべき布袋の造語が冠されたこのアルバムは布袋によると「わかりやすく言うとセックス・ピストルズのギタリストとジグ・ジグ・スパトニックのリズム隊をバックに、エディ・コクランビートルズの歌を赤いスーツを着て歌う」というものらしいが、このアルバムがつくられるにあたって相当なコンセプトが練られていたのがよくわかる。サウンド的にはギター以外は全部コンピュータを使用したほぼ一発録りのようなアルバムと布袋本人は語っていたが、B級でチープな打ち込みのオケとそれに調和したノイズレスでクリアなギターサウンドがテクノであり、ロックンロールでもあるビートミュージックといった趣で、奇妙な気持ちよさを感じさせる。アルバム全編英語詞で歌われているためか、ギタリスト初のソロアルバムでヘタウマなボーカルのしょぼさをあまり感じさせず、ちゃんと歌に雰囲気が出ている。

 このアルバムが今日に至る布袋寅泰の基本的スタイルをつくっており、売れ線に走っているという違いはあるが、ヒット曲「スリル」もこのアルバムの延長線上あるものだ。なんにせよ、日本でここまでバンドのギタリストが注目され、成功し、後に影響を与えることはなかっただろうし、これからもないだろう。布袋寅泰という不世出のアーティスト、偉大なり!海外進出頑張って!またライブいくよ!