落ち込んだ時に聴く音楽ってなんだ
最近、仕事で色々あり落ち込むことがあった。ショックな出来事を思い返すたびに、頭の中がぐるぐる回り、ああでもないこうでもないと感情が上下する。いつもの流れでこの気分が休日までずっと引きずりそうな、ろくでもない予感がする。そんなとき、私は癒してくれはしないまでも自分の気分に寄り添ってくれそうな音楽をApple musicで探していた。一瞬イギーポップのイディオットに白羽の矢が当たりそうになったが、結局、高橋徹也のベッドタウンというアルバムになり、それはまさしくという感じでぴったりだった。
高橋徹也の歌詞は抽象的で文学的な表現が多く、完全に共感できるほど意味を理解できたわけではなかったのだが、逆にそれが良かった。全体的な雰囲気は現代人の病的な孤独、自分だけその他大勢から取り残されていて、デビットリンチの作品のような不気味で奇妙な世界に置かれているような不安定な歌詞。その歌詞を演出するのは浮遊感のあるダビーなウッドベースや、怪しい夜を纏ったサックス、空間を彩るエフェクティブなエレキギターなどである。ジャズファンクが基調にありそうではあるが、デビッドボウイなどのニューウェーブの影響も強そうな癖の強い闇の渋谷系とでも言えるような音楽である。
落ち込んだ時の音楽は雰囲気で酔えるようなそんな音楽が私にはいいみたいだ。意味がわかりすぎるj-popに励まされるより、ちょっと大袈裟に自分の悲哀を演出してくれるようなそんな音楽がいい。いや、そこまで落ち込むことじゃねーし!と逆になるようなレベルでこっちを落ち込ませてくれるような洋楽が一番いい。いくつかそんなアルバムを思いついたので挙げてみる。
This Motal Coil『It'll End in Tears』
4AD特有の、ちょっと作為的すぎるようなゴシック趣味のアルバムではあるが、抽象度が高いだけにその曲の美しさは随一である。
Nick Drake『Pink Moon』
ほとんどデモテープのような、歌とアコースティックギターだけの曲のみであるが、これが破壊的な美しさと孤独感をたたえている。
George Michel『Older』
一曲目に尽きる。失ってしまったものに対する懺悔の気持ちがひしひしと伝わってくる、悲しみを曲に消化したアーティストの痛々しい偉大な一例である。
皆さんも孤独な夜のお供に是非いかがであろうか。えっ!?本当に落ち込んだら音楽なんて聞いてられないって?こりゃまた失礼しました〜