LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

The Beatles雑談

 The Beatlesは文字通り世界を変えた唯一無二の存在であるのに、その音楽的個性をきちんと受け継ぎ、さらに発展させた後続のアーティストは案外少ないように思う。マイナーなものを含めれば数あるのかもしれないが、質が良く有名なものに限ると、同時代だとHarry Nillson、70年代だと10cc、Tod Rundgren、80年代だとElectric Light OrchestraXTC、90年代はJellyfish、僕が思い出せるのはこれくらいだ。あぁ、そうそうDaniel Johnstonと日本のバンド、チューリップも忘れちゃいけない。

 The Beatlesを構成する要素を解体して、どこを発展させるかという試みだけで素晴らしい音楽は出来うる。イギリスらしいウィットに富んだユーモアと琴線に触れる表現に溢れた歌詞、繊細で美しいコーラスワーク、独特のひねりが効いたコードマジック、シンプルかつ無駄のない演奏、実験的な試みをポップに昇華する器の広さ。そのどれもが得がたく、バンドを構成する重要な要素ばかりであるが、さらにそこに4人のメンバーの個性や人柄、興味深いエピソードが加わる本当に話に事欠かないバンドだ。それはもはやロックという音楽の中にThe Beatlesがあるのではなく、それ自体で独立した一つのジャンルとして確立しているといってもいいくらいだろう。

 こう考えるとなかなかThe Beatlesのフォロワーというのは荷が重く難しいものだと言える。元のバンドを構成している要素が色々とあり複雑な上に、そこに乗っている逸話は伝説的で不可侵な雰囲気があるので、素人は手を出さない方が身のためだからだ。それでも、彼らの恐ろしいまでの音楽的魅力がそうさせるのか楽曲のカバー自体は数限りなくある。

 個人的な思い出といえば、昔、所属していた軽音楽部でEight Days A WeekとYer Bluesをカバーしたのだが、ロクな演奏にもならず盛り上がりもせず、冷えた空気になったのを覚えている。The Beatlesといったらロックを志す者にとっての神みたいな存在で、大したリスペクトやコピーの精度もないままに演奏してしまったのが癪に触ったのだろうか。そうだとすれば全く当然の反応であるし弁解もしないが、部員の奴らが知らんかったんだとしたら、The Beatlesくらいは義務教育みたいなもんやんけ!と今となっては言いたい。