LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

ポルノグラフィティが好きだ

 ポルノグラフィティが好きだ。彼らは前回書いた浜田省吾と同じように僕の地元広島の因島出身だ。僕も物心つかない幼少期、因島で過ごしており、デビューの時から周りの大人が騒いでいたのを覚えている。ボーカルの岡野昭仁の実家がやっている岡野写真館で僕の家族は家族写真を撮ったらしい。そういった経緯もあり、僕は音楽的な面以外でも彼らに思い入れがある。

 ポルノグラフィティの魅力をこれから語っていこうと思う。まず、ボーカルは唯一無二だろう。少しハスキーでささくれだっているような鼻声寄りの声。声を伸ばすとだんだんと落下していくような独特のボーカルライン。個性的な声だがロックもテクノもバラードもなんでも彼のものにしてしまう表現力の高さがある。ポルノグラフィティといえば岡野昭仁の声だ。

 次に純粋な曲の良さだ。僕は1stから5thまでの彼らのアルバムには外れがなくどのアルバムも素晴らしいと思っているが、それはプロデューサーの本間昭光の作曲とアレンジの手腕によるところが大きい。彼らのロック的な刺々しさを摘むことなく、JPOPと洋楽ロック、ポップスの間の美味しいところに落としどころをつけているようなハイブリッド感覚がある素晴らしいアレンジ。ポルノグラフィティの初期のヒット曲のほとんどは彼によるものであり、「アゲハ蝶」などのラテン風味の曲を2000年代に持ってきて、ポルノグラフィティのひとつのトレードマークに仕上げたその功績は大きい。

 そして、最後にギタリスト、新藤晴一による歌詞の素晴らしさだ。初期は作曲やアレンジを本間昭光というプロにかなりの部分任せており、その分歌詞で勝負したいという思いがあったようでそのどれもが入魂の出来だ。「パレット」では主人公は日常の中に哲学的な幸せを感じており、変わらずそこにある風景や出来事を歪めて見ているのは自分自身であるという。ヒット曲「サウダージ」では別れを受け入れようとする女心を紀貫之のごとく力強く書いており、しつこいまでに早口で繰り出される言葉の数々に女の情念を感じさせる。

 個人的に今でもいちばんよく聴くアルバムは3rdの『雲をも摑む民』だ。彼らのアーティストとしての魅力がいちばん詰まってると思うし、なにより音楽的にロック色が強く、尖っている感じがあるのがよい。それは脱退したベーシストのTamaの曲やアレンジがあることが大きいだろう。なぜがこのアルバムの歌詞は沁みる。また、次回詳しく曲の解説もしたい。