LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

音楽の海へ

 ポピュラーミュージックは大衆に支持される時だけ流行り、時期を過ぎると落ちていく。時代の風が吹いていくようにその人気は移り変わりしていくものだ。それぞれの時代に人気のあった音楽はたくさんあるが、時の経過によってその魅力を無くさないもの、数ある音楽の中で抜きん出ている歴史的名盤というものがある。僕は古い音楽でもそういったものを紹介することが多いが、そういった音楽はどのようにして歴史的名盤となりうるのか、今日はそれを考えてみたい。

 あるジャンルのオリジナル、創始者であるものが歴史的名盤に挙げられることが多い。The Beatlesのアルバムはそのどれもが名盤として挙げられることが多いが、その中でも『Sgt.Pepper〜』は一番有名だろう。このアルバムが歴史上はじめてのコンセプトアルバムだったかどうかは論争があるが、その形態でもっとも知られていて、その時代の支持を集めたものだったことは間違いないだろう。時代を象徴するほどの人気を集めた音楽であり、かつオリジナルの要素を持ったものだ。

 それに対して、The Velvet Undergroundは混沌としたアングラ感やポップアート感覚、ノイズの入った耽美的な音楽といった要素をはじめてロックの中に取り入れたバンドであったが、当時はあまり売れずよく知られているとは言い難い様子だった。しかし、時が経ち現在では後進のバンドやアーティストがその影響を公言し、徐々に人気を獲得していった結果、現在では店でバナナのTシャツが年中売られているほどポピュラーな存在になった。つまり、発売当時人気があったかどうかはあまり関係がなく、そのアーティストやバンドを後の時代の人々が見つけることで、時が経ってから歴史的名盤となることもあるのだ。

 だとすれば、インターネットが発達し世界中の人々と交流することができるようになり、音楽もサブスクリプションによってビックデーター化し、以前よりも簡単に世界中の音楽が聴けるようになった現代だからこそ見つけられる歴史的名盤というものがあるのではないだろうか。ここにきて音楽好きが音楽を探求する、Digるという行為は受動的ではなく能動的な試みになるということだろう。音楽史の流れの中からはみ出た名盤や素晴らしい音楽は片隅から再評価を待っているのかもしれない。それはまるで死んでから評価される美術家のようだ。だが結局、それは人の支持がどれだけ多くあるかという尺度なだけであって、あなたの個人的な歴史的名盤は沢山あってもよろしいのだ。どんどん音楽を聴きましょう。