LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

玄人のロック=クラウトロック?

 僕はクラウトロックが大好きだ。頭でっかちなドイツ人が作った風変わりで発明をしている科学的な試みの雰囲気すらある音楽。1960年代後半〜1970年代初めにかけてドイツで勃興した前衛的で不思議な陶酔感のあるロックだ。ルーツとしては現代音楽の一派であるシュトゥックハウゼンなどの電子音楽ミニマリズムが挙げられると思うが、それらが折りからのサイケデリックムーブメントや、その影響を受けたロックという雑食性のある音楽と融合したことで化学反応が起き、1+1が∞となった。クラウトロックにも色々あるが僕が中でも好きなのはプログレッシブロックの枠でも語られるCAN、ハンマービートを初め数々の実験的な試みを成功させたNEU!、クラウトロックというよりはテクノの創始者という文脈で語られることの多いKRAFTWERKだ(ドイツ人によるロックという大枠でジャーマンニューウェーブを含めれば大好きなDAFもありもっと広がるが、それはまた別の機会に……)。

 クラウトロックの何が良いかというとやはりその何かが生まれそうな前衛さ加減だ。ロックと電子音楽ミニマリズム、クラシックその他のJAZZやFUNKなどの音楽の影響が整理されないまま混沌としたエネルギーとして吐き出されるドキュメント性。そこに多くのクラウトロックの名盤を手がけたミキサー、コニー・プランクが作り出す独特の音響の気持ちよさがプラスされ、聴衆の心にまるで真理を会得したような宗教的体験とも言える謎の感動が生まれるのだ。このことはクラウトロックに一度でもハマったことのある方ならご存知のことだと思う。

 後のロック音楽に与えた影響も大きく、Sex Pistols解散後のジョン・ライドンが組んだPublic Image Limitedは明らかにその影響下にあるし、現代の実験的ロックバンドの雄RadioheadもCANの曲をカバーし自らの影響源を明らかにしている。ロック音楽の可能性や新しい試みを探しているアーティストにとって非常に大きな刺激になる可能性に満ちた音楽がクラウトロックでもあるということかもしれない。また音楽史的に言わずと知れたKRAFTWERKはテクノというジャンルを確立し、電子音楽をミニマリスティックにグルーヴさせることでポップ音楽たらしめることに成功した。彼らがいなければYMOはいないしPerfumeだっていない。なのでこれらの知識は本来日本の教科書に載るべき事柄である。