LET THERE BE MUSIC

自分の好きな音楽、アーティストに対する考察。まずは自己満

レコードを聴いている

最近レコードをよく聴いている。

 CDで育ってきた世代である私としては、アナログレコードの温かみのあるといわれる音質が何より魅力だ。

 特段高価なオーディオシステムではないが、それでも充分デジタル音源との違いは感じられる。まるで目の前で鳴っているような楽器の演奏、息遣いすら聴こえてきそうな歌手の声。それらの豊潤な響きは針で溝をなぞっているだけで出ていることが不思議に思えるくらいだ。

 レコードが流行っているといわれて久しいが、その魅力についていくつか考えてみた。

 

①ファッションアイテム、アートの形として

 これは大きいと思う。邦楽のアーティストもCDと同時にレコードを出すことも珍しくなく、また安価でデザイン性のあるレコードプレーヤーも多く発売されている現在、20代の若い世代にとってもレコードは古いメディアというより、お洒落なものとして映っているだろう。

 ピンクフロイド等を手がけた天才アート集団ヒプノシスのロックアルバム、夜の香りがするモダンジャズの名盤、はたまた池玲子のセクシージャケットまで、CDの約4倍ほど大きな面積を占めるレコードのジャケットは目で楽しむ音楽媒体のメディアとしてデジタル配信はもとよりCDより遥かに優れている。

 

②ひとつの独立した音楽記録媒体として

 私がはじめてレコードの音を意識したのは、大学生の時兄に連れられ、浜田省吾のファンが集う浜田省吾専門BARに行った時である。CDでよく聴いていたアルバムであるのに全く聴こえ方がちがっていたので、これ同じアルバム!?とマスターに確認し、ものすごく驚いた記憶がある。

 しかし今思えば、厳密に言えば私がCDで聴いていた浜田省吾のアルバムとBARで流れていたアルバムは違っていたのである。それはアナログレコード用に作られた音源はCDにするときデジタルマスタリングをするのだが、その際のマスタリングはCDに最適化された音やその時代に合わせた音圧に作りなおしてデジタル音源をつくっているからであり、場合よってはミックスの段階からCD用に作り直したりもしている。そうすることで迫力があり、現代風のクリアな音質でCDの音を聴くことができるのだが、マスタリングのやり方によっては低高音が強調されすぎた結果、耳に痛い音になってしまったり、発売当時のレコードからはかけ離れた音になってしまうこともあった。

 そうしたデジタルリマスターの問題が顕在化してきたからか、2009年に話題になったTHE BEATLESのリマスターではアナログの音質に近い、レコードの音にそったリマスターがされるようになり、現在ではそういったやり方が主流になってきた。

 つまり同じアルバムであってもアナログレコードとCDの音は基本的には全くの別物なのである。

 

③優秀な音楽記録媒体、音質追求の沼として

 前述のCDの音のとの違いの他には何がレコードの音を特別にしているのだろうか?

 一説にによれば、レコードはCDが切り取っている人間の耳には聴こえない高周波を記録できるのだそうだ。その高周波が人間に心地よさを与えるのだという。またデジタル音源はどこまでいってもデーターの集積であるのでその音の周波数は階段のようにかくついているが、アナログの音は究極的にまるく、なめらかなカーブを描いている。これが人間に自然な音であると感じさせる要因になっているようだ。

 音のクリアさやノイズのなさではCDには及ばないが、そうした欠点をレコードではレコードプレーヤーや溝をなぞる針やカートリッジの交換、フォノイコライザーやプリメインアンプの取捨選択など機材の再生環境を考えたり、はたまたレコードそのものを洗う、おもしを載せたりなどをすることで改善ができ、その余地は数限りなくある。CDと違いそうした手間がかなり面倒くさく、時間がかかり、良い音で再生するには個人の努力や投資に多くを託されている。そうした努力の結果、ようやく自分だけの理想の音にたどり着くという音楽マニアの桃源郷、これが音質を追求する音楽好き、オーディオマニアにとってたまらないわけである。

 

 いかがだったろうか、レコードはじめたての初心者が書いた拙文であるが、これでレコードの魅力が少しは伝わったことを祈る。